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特集 癌の播種性病変の病態と診断・治療
胃癌腹膜播種の病態と診断
Molecular mechanism and diagnosis of peritoneal dissemination in gastric cancers
阪倉 長平
1
,
萩原 明於
1
,
山岸 久一
1
Chohei SAKAKURA
1
1京都府立医科大学消化器外科
キーワード:
胃癌腹膜転移
,
DNAマイクロアレイ
,
腹腔内遊離癌細胞
,
RegⅣ
Keyword:
胃癌腹膜転移
,
DNAマイクロアレイ
,
腹腔内遊離癌細胞
,
RegⅣ
pp.747-754
発行日 2006年6月20日
Published Date 2006/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100463
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要旨:腹膜転移(癌性腹膜炎)は消化器癌の死亡原因のうちで大きな割合を占め,重大な予後規定因子である.癌性腹膜炎に伴う腹水貯留や消化管閉塞は全身状態不良な終末期癌患者にみられ,食思不振,腹部膨満感,悪心・嘔吐,腹痛などの苦痛を伴い,患者のQOLは著しく低下する.これまで癌性腹膜炎を根治させることは不可能とされてきたが,近年の化学療法の進歩に伴いその予後も改善しつつあり,その正確な早期診断が望まれている.最近では胃癌手術時の術中洗浄細胞診が一般に広く行われているが,その正診率は必ずしも十分ではない.そこでDNAチップを用いて腹膜転移由来胃癌細胞株の遺伝子発現変化を網羅的に解析し,腹水胃癌で特異的に発現,上昇している遺伝子を複数個同定し,これらの新しい診断マーカーとしての有用性を検討した.また,胃癌の新規癌抑制遺伝子RUNX3の発現低下と胃癌腹膜転移についての最近の知見も併せて示した.これらの新しいマーカーを指標とする迅速定量RT-PCR法によって,腹腔内の微小癌細胞を従来の腹腔洗浄細胞診に比べてより高感度・特異的に検出することが可能となり,術中迅速遺伝子診断として腹腔内癌化学療法の適応決定や手術術式決定に応用し得ると考えられた.
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