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1 はじめに―病院の概要
当院は1955年に米国長老教会婦人会の献金を基に初代院長ブラウン博士により開設され,現在では大阪市東淀川区内(人口17万人)で唯一の高機能病院であり,一次,二次の救急病院としての役割も果たしている.また,ホスピス・緩和ケアや周産期医療,リハビリテーションなどにも積極的に取り組んでおり,さらに,病診連携として東淀川医師会などの診療所からの紹介率は約60%と高く,病床の共同利用,定期的に症例検討や勉強会を行っている.
当院における研修医制度は1968年より公募で有給の研修医を6名採用したのが始まりで,現在のスーパーローテートに似た研修方式を導入しており,その背景には米国留学帰りの教育熱心な医師が研修プログラムを計画し,古くからプライマリ・ケアを重視していたことによる.1992年,厚生省の臨床研修指定病院に指定され,毎年公募で採用し(2~11名),ローテートのスケジュールは内科,外科,小児科(周産期医療を含む),麻酔科,救急診療科,ホスピス科などの必修科で1年4か月研修して,残り8か月は希望の科を研修するものであった.なお,当院のホスピスは1984年に開設されており,急性期と終末期の2つの医療を経験することによって,医師としての資質をより深く養うことができると考えている.
したがって,2004年に新臨床研修制度が開始するにあたって大きな変更はなく,医師,看護師をはじめ全職員が研修医を育てていくという意識をもっておりスムーズに移行できた.研修医の指導に際しては本院の理念である「全人医療」のもと,患者中心のチーム医療の教育に力を入れており,すなわち,(1)研修医の自主性を尊重する,(2)救急医療に力を入れる,(3)周産期から終末期(ホスピス)まで研修できる,(4)専攻の決定・未決定にかかわらず幅広い医学的知識を身に付けることができる,ことを目標に掲げ,「医師としてのあり方」だけでなく「社会人としてのあり方」についても多くを学べ,有意義な研修を受けることができると考えている.
病院の概要は,医師数131名(うち研修医24名),病床数607床(本院487床,分院120床),1日平均入院患者数513.5名,1日平均外来患者数1,094.5名,平均在院日数14.3日,また,救急件数は救急搬送数17.7件/日,救急患者数63.8人/日である.
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