特集 癌治療のプロトコール2005-2006
Ⅴ.胆管癌治療のプロトコール
栃木県立がんセンター外科・他
富川 盛啓
1
,
菱沼 正一
1
,
尾澤 巖
1
,
尾形 佳郎
1
,
長瀬 通隆
2
,
山本 孝信
3
1栃木県立がんセンター外科
2栃木県立がんセンター化学療法科
3栃木県立がんセンター画像診断部
pp.173-180
発行日 2005年10月22日
Published Date 2005/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100221
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はじめに
胆管癌は進展度診断が困難であるばかりではなく,周囲の組織や臓器へ容易に浸潤するなど切除不能症例も多く,治療戦略を立てるのに難渋する癌の1つである.現時点では,胆管癌に対して有効とされる化学療法はなく,放射線治療でも腫瘍を根治に至らしめることは不可能である.胆管癌治療の中心は治癒切除を目指して「切除できるものは切除する」という手術療法である.ただし,切除に際しては肝切除や膵頭十二指腸切除など大きな侵襲を伴う術式が多いため,全身状態の把握を含め,可能な限り正確に診断を行ったうえで慎重に治療方針を検討する必要がある.
当センターでは,それぞれの症例の治療方針については,外科医のみの判断ではなく,外科,画像診断部(消化器内科),化学療法科(腫瘍内科),放射線治療部,病理医,放射線技師,検査技師などが参加して開かれる週1回のカンファレンスで詳細に検討している(図1).そうすることで,診断はもとより集学的治療を含めた治療方針に関してさまざまな専門分野の立場から意見を述べて議論を行うことができ,より適切な治療が行えるものと考えている.
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