目で見る外科標準術式・55
肛門狭窄を合併する慢性裂肛に対する皮膚弁移動術(SSG法)
松島 誠
1
Makoto MATSUSHIMA
1
1松島病院
pp.81-85
発行日 2005年1月20日
Published Date 2005/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407100013
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はじめに
慢性裂肛における肛門狭窄症状は程度に差はあるがほぼ必ず認められる症状である.慢性裂肛潰瘍部の肛門管上皮と潰瘍底に露出した内括約筋が線維化し,伸展性を失って狭窄症状を呈するようになる.この狭窄はさらに裂肛増悪因子として働き,症状を悪化させる.通常,裂肛はそのほとんどの症例が排便のコントロールを中心とした生活指導と保存的な方法で治療可能である.仮に保存的治療に抵抗して急性裂肛が潰瘍化した症例でも側方皮下内括約筋切開術(LSIS)や,用手的肛門拡張術などで治療可能なものがほとんどである.しかし,さらに症状が進行し,強度の狭窄症状を呈するようになった慢性裂肛の治療では,伸展性を失った潰瘍部切除を含めた根本的な手術治療が必要となる.
本稿では,慢性裂肛の治癒を阻害する因子である狭窄を解除し,同時に潰瘍切除部を正常な肛門周囲皮膚で覆う皮膚弁移動術(SSG法)について述べる.
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