特集 消化器・一般外科におけるCommon Diseaseの手術 エルステから高難度まで
Ⅱ 肛門疾患手術 8 肛門狭窄に対する皮膚弁移動術(SSG)
松田 大助
1
,
香中 伸太郎
1
,
清松 英充
1
,
柴田 淳一
1
,
大高 京子
1
,
松田 好雄
1
1松田会 荒川外科肛門医院
キーワード:
慢性裂肛
,
肛門狭窄
,
SSG(sliding skin graft)
Keyword:
慢性裂肛
,
肛門狭窄
,
SSG(sliding skin graft)
pp.519-524
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002152
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裂肛は肛門上皮(anoderm)に生じた裂創や潰瘍の総称で,一般的に「切れ痔」と呼ばれる。ほとんどが硬便などによる肛門上皮の物理的損傷により発生する。治療は排便コントロールや痔疾軟膏などによる保存的治療で改善されることが多い。しかし,裂肛を繰り返し慢性化すると,排便時の疼痛により内肛門括約筋の攣縮(spasm)を生じ機能的肛門狭窄を起こすようになる。さらに再発や炎症を繰り返すと,裂肛部に肛門潰瘍・肛門ポリープ・見張りいぼ(裂肛の三兆)を生じる。ついには肛門上皮の瘢痕化をきたし,肛門管の伸展性が失われ器質的肛門狭窄を起こす。このように慢性化し肛門狭窄を認めるようになると保存的治療による治癒は困難で外科的手術が必要となる。
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