Japanese
English
特集 プリオン病
動物のプリオン病と実験的プリオン病
Prion Disease in Animals and Experimental Prion Disease
池田 修一
1
Shu-ichi Ikeda
1
1信州大学医学部第三内科
1Department of Medicine (Neurology), Shinshu University School of Medicine
キーワード:
prion
,
prion's disease
,
scrapie
,
transmissible spongiform encephalopathy
Keyword:
prion
,
prion's disease
,
scrapie
,
transmissible spongiform encephalopathy
pp.689-695
発行日 1997年8月1日
Published Date 1997/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902089
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
プリオンは伝播可能な海綿状脳症(transmissiblespongiform encephalopathy, TSEと略す)の病原体とみなされている蛋白であり,本蛋白が媒介して起こす疾患はプリオン病と総称される。TSEまたはプリオン病の成因ならびに病理発生機序を考える上で歴史的に貴重な疾患はヒツジのscrapieである。またCreutzfeldt-Jakob病(CJD),Gerstnnann-Sträussler—Scheinker病(GSS)患者の脳組織を齧歯類の脳へ接種することでTSEが起こることより,ヒトのプリオン病研究に際して動物のプリオン病は非常に重要な役割を果たしている。さらに最近では予期せぬ人為的な操作によりscrapieが他の動物に広がり,特に近年英国で爆発的に発生したウシの海綿状脳症は英国のみならずヨーロッパ諸国の大きな社会問題に発展した。
現在自然界における動物のプリオン病としては図1に挙げられる疾患が知られているが,この中でmuledeer以外の動物で発生したTSEは全てscrapieと関連している。そこで本稿ではscrapieを中心に動物のプリオン病の脳病理所見ならびにその発生機序について述べる。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.