Japanese
English
特集 プリオン病
プリオン病の遺伝子異常と病理
Gene Mutation and Pathology in Human Prion Disease
田代 博史
1
,
堂浦 克美
1
Hirofumi Tashiro
1
,
Katsumi Doh-ura
1
1九州大学医学部脳神経病研究施設病理部門
1Department of Neuropathology, Neurological Institute, Faculty of Medicine, Kyushu University
キーワード:
prion
,
CJD
,
GSS
,
plaque type
,
synaptic type
Keyword:
prion
,
CJD
,
GSS
,
plaque type
,
synaptic type
pp.681-687
発行日 1997年8月1日
Published Date 1997/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902088
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I.はじめに
プリオン蛋白(prion protein, PrP)は20番染色体短腕上の遺伝子によってコードされる蛋白質29)で,正常でも神経細胞などにその発現が認められる。最近ではPrPノックアウトマウスの長期観察の結果から,PrPと小脳プルキンエ細胞の機能維持との関連が報告された28)。PrPはプロテアーゼ抵抗性と界面活性剤への溶解性の差によって,正常型PrP(Prpc)と異常型PrP(PrPres)に分けられる。PrPresはプロテアーゼ抵抗性でかつ界面活性剤に難溶性である。両蛋白の一次構造は同一であるが立体構造上,正常型ではα—helix構造,異常型ではβ—sheet構造に富み,このため異常型はアミロイドの性質を示すようになる26)。現在ではPrPresが特異的に認められる疾患群をプリオン病と呼んでいる。ヒトの場合,プリオン病に含まれる疾患としてCreutzfeldt-Jakob病(CJD),Gerst—mann-Sträussler-Scheinker症候群(GSS),fatalfarmilial insomnia(FFI),およびkuruがあげられる。従来,プリオン病はマウスなど動物への実験的伝播が認められることからスローウイルス感染症として知られていたが,1982年にPrusiner27)がその感染因子として核酸ではなく蛋白質性因子(プリオン)であることを提唱した。
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