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特集 プリオン病
Creutzfeldt-Jakob病とGerstmann-Sträus症候群の臨床
Clinical Features of Creutzfeldt-Jakob Disease and Gerstmann-Sträus Syndrome
葛原 茂樹
1
Shigeki Kuzuhara
1
1三重大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Mie University School of Medicine
キーワード:
Creutzfeldt-Jakob disease
,
Gerstmann-Sträus syndrome
,
prion disease
,
clinical features
,
periodic synchronous discharge(PSD)
Keyword:
Creutzfeldt-Jakob disease
,
Gerstmann-Sträus syndrome
,
prion disease
,
clinical features
,
periodic synchronous discharge(PSD)
pp.697-706
発行日 1997年8月1日
Published Date 1997/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406902090
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I.はじめに
ヒトのプリオン病の代表的疾患は,Creutzfeldt—Jakob病(CJD),Gerstmann-Sträus症候群(GSS)およびkuruである。CJDは全世界的にほぼ同じ発生率(1/100万人)で分布するのに対して,kuruは宗教的儀式で人脳を食するパプアニューギニアの特定の部族にのみ発生した風土病であり,食脳儀式の中止により消失した1)。GSSは,最初はオーストリアの1家系の優性遺伝する中枢神経系変性疾患として記載され,Gerstmann-Sträus-Scheinker病(GSSD)と呼ばれた2)。しかし,類似症例は全世界に分布し散発例もあること,病理学的にはCJDやkuruとも共通点を持つ例が含まれていることが明らかになり,このような特徴を有する症例すべてを含むGSSという概念が提唱された3)。頻度はCJDの数%以下と推定されている。
これらの3疾患は当初は独立した疾患として記載されたものであるが,kuruを中間において,臨床的には進行性の痴呆と小脳失調を主徴とし,病理学的には海綿状脳症やkuru斑が認められるという共通点を持つことが注目され始め,伝播実験の成功,脳内の感染性異常プリオン蓄積の証明を通じ,共通の病因プリオンが関与した疾患であると考えられるようになった4)。
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