Japanese
English
総説
多発性硬化症(MS)の治療—最近の動向
Treatment of Multiple Sclerosis:Current Opinion
山村 隆
1
Takashi Yamamura
1
1国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部
1Department of Immunology, National Institute of Neuroscience
キーワード:
multiple sclerosis
,
interferon-β
,
Th 1/Th 2
,
NK cell
,
glatiramer acetate
Keyword:
multiple sclerosis
,
interferon-β
,
Th 1/Th 2
,
NK cell
,
glatiramer acetate
pp.707-713
発行日 2001年8月1日
Published Date 2001/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901811
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はじめに
中枢神経系の代表的な脱髄疾患である多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)は,現在では中枢神経系の自己免疫病であることが定説となっている。MSは自己免疫疾患の中でもっとも病態解明の進んだ疾患であり,免疫病態に即した治療法の開発に向けて研究が進んでいる。MSは神経内科医でなければ診断や病状評価の困難な神経疾患であるが,病態の理解や治療法の決定には免疫学の素養が必須である。治療法の少ないと言われる神経疾患の中で,MSは治療によく反応する疾患であり,特に急性期におけるステロイド・パルス療法の有効性は広く認識されている。また,近年インターフェロン・ベータ(interferon-β)やglatiramer acetate(Copaxone)などの新しい治療薬が臨床に導入され,これらの治療薬により欧米MS患者の予後は確実に向上している。日本でもようやく平成12年11月にinterferon-βが認可され,500名程度の患者が既に治療を開始している。本稿では,まずMSの免疫病態に関する新しい知見を整理し,つぎにinterferon-β療法を含めて現在わが国で利用できる治療法について解説を加える。また将来導入される可能性のある治療,研究段階の治療法についても簡単に触れる。MSの治療に関して,これまで内外で多くの総説,治療の手引きなどが発表されている。
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