Japanese
English
特集 免疫性神経疾患
多発性硬化症と免疫
Immunological Aspects of Multiple Sclerosis
宮岸 隆司
1
,
深浦 彦彰
1
,
深澤 俊行
1,2
,
田代 邦雄
1
Ryuji Miyagishi
1
,
Hikoaki Fukaura
1
,
Tosiyuki Fukazawa
1,2
,
Kunio Tashiro
1
1北海道大学医学部神経内科
2北祐会神経内科病院
1Department of Neurology, Hokkaido University School of Medicine
キーワード:
multiple sclerosis
,
autoimmune disease
,
blood-brain barrier
,
adhesion molecules
,
cytokin
Keyword:
multiple sclerosis
,
autoimmune disease
,
blood-brain barrier
,
adhesion molecules
,
cytokin
pp.917-924
発行日 1993年10月1日
Published Date 1993/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900541
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
多発性硬化症(MS)は中枢神経白質を特異的に障害する炎症性脱髄性疾患であり,発症機序については大きく分けて2つの仮説がある。1つはウイルスが直接中枢神経に入り込み炎症を生じるとするウイルス説であるが,病巣からの特定のウイルスの分離同定は今のところ再現性に乏しい。もう1つは中枢神経系に浸潤したT細胞が自己抗原を認識し正常細胞を破壊するとする自己免疫説である。しかし,これは必ずしもウイルス説と相いれぬものではなく,ウイルス感染を契機として中枢神経のミエリンに対する自己免疫反応が生じる可能性も考えられる。この場合ウイルスは直接中枢神経に侵入する必要はない。また,MS病巣での活性化したT細胞の存在やEAEとの類似性,中枢神経内での免疫グロブリン産生の増加などの免疫異常,さらにHLAとの相関などのImmunogeneticな背景などがMSの発症における免疫応答の関与を強く示唆している。近年,自己反応性T細胞とT細胞受容体(TCR)63),接着分子やサイトカインの役割15,29)などについて精力的な研究が続いている。本稿ではBlood-Brain Barrier(BBB)とMSの関連,接着分子とサイトカインの果たす役割,新しい免疫療法などを中心に概説する。
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.