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特集 脊髄小脳変性症の最新の話題
2.脊髄小脳変性症とCaチャンネル異常
Spinocerebellar Degeneration and Ca Channel Abnormality
水澤 英洋
1
Hidehiro Mizusawa
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科脳神経機能病態学(神経内科学)
1Department of Neurology and Neurological Science, Tokyo Medical and Dental University, Graduate School of Medical and Dental Sciences
キーワード:
spinocerebellar ataxia type 6(SCA 6)
,
voltage-dependent Ca channel α1A subunit
,
CAG-repeat expansion
,
polyglutamine disease
,
inactivation
Keyword:
spinocerebellar ataxia type 6(SCA 6)
,
voltage-dependent Ca channel α1A subunit
,
CAG-repeat expansion
,
polyglutamine disease
,
inactivation
pp.14-24
発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901705
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はじめに
脊髄小脳変性症には表1のごとく多数の疾患あるいは病型が存在する1)。わが国で最も多いのは孤発性の多系統萎縮症であり全体の約40%を占めるが,遺伝性のものも全体では40%位存在しその比率は他の神経変性疾患に比べて格段に高い。その大部分は常染色体優性遺伝性で現在までに多数の原因遺伝子や遺伝子座が判明しており,脊髄小脳失調症(spinocerebellarataxia:SCA)1型(SCA 1),2型(SCA 2)というように命名されている(表1)。しかし,遺伝子の機能が判明しているのはまれで,その一つが電位依存性Caチャンネルα1Aサブユニット遺伝子のCAGリピートの異常伸長による脊髄小脳失調症6型(SCA 6)である2)。
一方,チャンネル,とくにイオンチャンネルは興奮性細胞である神経や筋の重要な構造物であり,その異常による神経疾患は多数存在する3)。その機能から想像されるように,多くのチャンネル病あるいはチャンネル異常症(channelopathy)はてんかんやミオトニアなどの発作性症状を呈する(表2)。その中にあってSCA 6は徐々に神経細胞死が進行する変性疾患でありその意味でも注目に値する。発作性症状には抗てんかん薬を始めとする興奮抑制薬が有効なことが多いが,進行性障害でもその発症にチャンネルの機能異常が寄与しているとすればそれを是正することで治療できる可能性がある。
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