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特集 脊髄小脳変性症の最新の話題
1.脊髄小脳変性症の分類
Classfication of Spinocerebellar Degeneration (SCD)
阿部 康二
1
1岡山大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Okayama University Medical School
キーワード:
spinocerebellar ataxia
,
CAG repeat
,
polyglutamine
,
anticipation
Keyword:
spinocerebellar ataxia
,
CAG repeat
,
polyglutamine
,
anticipation
pp.5-13
発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901704
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はじめに
脊髄小脳変性症(Spinocerebellar degeneration,SCD)は,小脳性または脊髄性の運動失調を主症候とし,小脳や脊髄の神経核や伝導路に病変の主座をもつ変性疾患の総称である。SCDは厚生省特定疾患に指定されているいわゆる神経難病の一つであり,平成10年(1998年)度の厚生省資料では43種類の特定疾患のうちの4%を占め,約1万7千人余りの患者が登録されている。しかしこの登録件数も年々増加しており(図1),このカーブから推定するとSCD患者総数は,国内に2万人弱程度いるものと考えられる。
本症は通常成人発症であり患者の発症年齢は40〜60歳台のことが多く,70〜80歳ぐらいまで患者年齢としては存在する。欧米では遺伝性のものが大半を占めるとされているが,日本においては孤発性のものが約半数を占める。遺伝性の場合は,発症年齢が孤発性より若いことが多いが,歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)などの例外を除いて,逆説的ながら予後は一般的にむしろ遺伝性のほうがいいのが本疾患の特徴である。一般に,患者発症に男女差はないが,遺伝性の場合に父親が患者であった場合には,母親が患者であった場合に比べて子の発症が早まり臨床症状が重症化する現象(paternal anticipation)が知られている。
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