Japanese
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特集 免疫性神経疾患の治療の進歩
2.傍腫瘍性神経症候群(PNS)
Therapy of Paraneoplastic Neurological Syndrome
犬塚 貴
1
Takashi Inuzuka
1
1岐阜大学医学部高齢医学講座
1Department of Geriatrics and Neurology, School of Medicine, Gifu University
キーワード:
malignancy
,
remote effect
,
anti-neuronal antibody
,
immunomodulation therapy
,
cytotoxic T cell
Keyword:
malignancy
,
remote effect
,
anti-neuronal antibody
,
immunomodulation therapy
,
cytotoxic T cell
pp.1057-1062
発行日 2000年12月1日
Published Date 2000/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901689
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はじめに
傍腫瘍性神経症候群(paraneoplastic neurological syndrome)とは,悪性腫瘍の神経系への直接的な浸潤・圧迫,転移,悪性腫瘍に伴う栄養・代謝障害,血管障害,感染,各種治療による副作用などによらず,いわゆる「腫瘍の遠隔効果」として発現する神経症状である。これらの中には腫瘍自体が産生するホルモン,抗体,サイトカインによる神経障害機序も含まれるが,ここで取り上げるのは,神経抗原を異所性に発現した腫瘍に対する免疫反応が,自己神経組織を傷害するという機序が想定されるものである1)。これらの免疫学的分子病態の多くは依然不明であるが,患者の血清および髄液中に腫瘍と神経細胞との共通抗原と反応する特徴的な抗神経抗体が検出される症例が積み上げられ,とくに1980年代以降,いくつかの種類の抗体と臨床症状,腫瘍の間に一定の関係が指摘されている(表1)。これらの中には抗体を動物に移入することによって人と同様の病態を生じ,抗体の病因としての一義的な役割が明らかにされているものがある。
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