Japanese
English
総説
パーキンソン病の外科的治療
Surgical Therapy for Parkinson's Disease
富田 享
1
,
伊達 勲
1
,
大本 堯史
1
Susumu Tomita
1
,
Isao Date
1
,
Takashi Ohmoto
1
1岡山大学医学部脳神経外科
1Department of Neurological Surgery, Okayama University Medical School
キーワード:
Parkinson's disease
,
thalamotomy
,
pallidotomy
,
deep brain stimulation
,
transplantation
Keyword:
Parkinson's disease
,
thalamotomy
,
pallidotomy
,
deep brain stimulation
,
transplantation
pp.947-958
発行日 2000年11月1日
Published Date 2000/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901673
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はじめに
最近の10年間においてパーキンソン病に対する外科的治療法には大きな革新が2点あった。そのひとつは,従来"hyperkinetic state"すなわち振戦,固縮に対する視床破壊術が定位脳手術の中心であったが,Laiti-aenの報告44)以後,"脱抑制"という概念で淡蒼球破壊術が急速に普及し,"hypokinetic state"すなわち無動,姿勢保持障害にも適応が広がったことである。いまひとつは,100Hz以上の高周波数の電気刺激が神経の機能的な抑制をきたすことから,凝固による破壊の代わりとして慢性埋め込み電極による電気刺激療法が行われ始めたことである。これらの進歩によって解剖学的な治療の標的部位も,視床運動核から淡蒼球内節(GPi),視床下核(STN)へと広がってきた。また一方で,神経移植の研究も着実に進んでおりfetusからの移植だけでなく,副腎髄質や交感神経節を使った臨床例の報告や,遺伝子治療の技術を移植細胞に応用する試みがなされている。さらに,種々の神経栄養因子の発見と神経幹細胞の性質の解明に伴い,それらを利用した神経組織の変性の予防と再生の促進,ならびに神経移植への応用が検討されている。
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