Japanese
English
総説
アトピー性脊髄炎とその周辺
Atopic Myelitis and Related Disorders
吉良 潤一
1
Jun-ichi Kira
1
1九州大学大学院医学研究院脳神経病研究施設神経内科
1Department of Neurology, Neurological Institute, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
キーワード:
atopy
,
myelitis
,
IgE
,
eosinophil
,
mite
Keyword:
atopy
,
myelitis
,
IgE
,
eosinophil
,
mite
pp.960-968
発行日 2000年11月1日
Published Date 2000/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901674
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はじめに
近年,先進国ではアトピー性皮膚炎(atopic dermati-tis,以下AD)やアレルギー性鼻炎,気管支喘息(bron-chial asthma,BA)などのアトピー性疾患が激増している2,14,15)。わが国でも1960年代以降これらのアトピー性疾患の増加が指摘されている15)。アトピーとは,ダニやスギ花粉などの通常は無害な環境抗原に対して高IgE応答を呈する体質をいう。このような体質をもとにして種々のアトピー性疾患を生ずる。しかし,これまではアトピーと中枢神経系の炎症の関連は全く注目されてこなかった。ところが,最近われわれは成人のAD患者で,頸髄炎を伴う症例を経験し,アトピーを基盤とする脊髄炎の存在を考えた9〜11)。このような病態に対してわれわれはアトピー性脊髄炎(atopicmyelitis)という新たな疾患名を提唱している。本稿ではアトピーを合併する脊髄炎の臨床像,検査所見,神経病理所見をまとめ,アトピー性脊髄炎の診断基準を提案したい。
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