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特集 脳深部刺激療法
2.パーキンソン病に対する脳深部刺激療法
Deep Brain Stimulation for Parkinson's Disease
伊達 勲
1
,
松井 利浩
1
Isao Date
1
,
Toshihiro Matsui
1
1岡山大学大学院医歯学総合研究科神経病態外科学
1Department of Neurological Surgery, Okayama University Graduate School of Medicine and Dentistry
キーワード:
Parkinson's disease
,
deep brain stimulation
,
subthalamic nucleus
,
globus pallidus
,
thalamus
Keyword:
Parkinson's disease
,
deep brain stimulation
,
subthalamic nucleus
,
globus pallidus
,
thalamus
pp.827-841
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100345
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はじめに
脳深部刺激療法(deep brain stimulation:DBS)は1970年代より難治性疼痛の治療に用いられ64, 106),1980年代に入り不随意運動の治療にも応用されるようになった23, 28, 107)。パーキンソン病に対するDBSは1987年にBenabidらの報告に始まる13)。それまでのパーキンソン病に対する外科的治療は,振戦に対する視床中間腹側核(Vim核)の凝固術が中心であった。Vim核の刺激,特に100 Hz以上の高頻度の刺激により振戦が止まることは,視床凝固術において凝固部位確認のための刺激により振戦が止まることから広く知られていた6, 155)。彼らは,両側に振戦を認めるパーキンソン病患者に対して,両側凝固術の合併症を避ける目的で一側の凝固と対側の刺激を組み合わせて治療した13)。
1990年代に入り,パーキンソン病に対する外科的治療が急速に注目を浴びるようになった。それには,大脳基底核の解剖や,不随意運動症における病態生理に関する理解が進んだことや2, 33),手術目標として淡蒼球90, 146)や視床下核(図1)18, 95)が取り上げられ,パーキンソン病の外科的治療の適応が振戦,固縮から寡動や無動,L-ドパの長期連用による問題の解決にまで拡大したことによるところが大きい。また,画像ならびに手術支援システムの進歩による手術精度の向上も大きく貢献している。
わが国では,2000年4月に振戦の治療を目的にDBSの保険適用が認められて以降,その手術件数は飛躍的に増加している。
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