Japanese
English
総説
画像からみた脳の発達解剖
Radiological Aspect of Developmental Neuroanatomy:Forebrain Embryogenesis and Its Disorders
宇都宮 英綱
1
Hidetsuna Utsunomiya
1
1福岡大学医学部放射線科
1Department of Diagnostic Radiology, Fukuoka University School of Medicine
キーワード:
neuroanatomy
,
embryogenesis
,
forebrain
,
anomalies
,
MRI
Keyword:
neuroanatomy
,
embryogenesis
,
forebrain
,
anomalies
,
MRI
pp.766-779
発行日 2000年9月1日
Published Date 2000/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901647
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はじめに
複雑に進化したヒトの脳形態の理解には,これらが形成されていく発生過程の知識が必要不可欠である。したがって,未熟な脳の発達過程を解析することは,神経系の発生機構を学ぶ恰好の手段であると同時に,神経解剖学の基礎を理解する上で最も合理的な方法と言うことができる。一方,MRI(magnetic resonance im-aging)が呈示する,あたかも解剖書を見るかのように鮮明な画質と任意の断層面は,これまでの画像診断法では困難であった脳の種々の構造の把握を可能にした。中でも中枢神経系奇形の解析がMRIの出現で飛躍的に進歩したことは周知のとおりである。中枢神経系奇形は脳,脊髄の正常な発達が何らかの原因で未熟な状態のまま停止したと考えることができる。したがって,奇形の理解には発生学的知識が必要となる一方で,奇形をとおして中枢神経の発生と発達過程の理解を深めることもできる。本稿では,正常な前脳の発生と発達について解説を加えるとともに,代表的大脳奇形を呈示し,その形態学的特徴の成り立ちについて考察を加えてみたい。
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