Japanese
English
総説
アルツハイマー病とコレステロール
Alzheimer Disease and Cholesterol
柳澤 勝彦
1
Katsuhiko Yanagisawa
1
1国立中部病院長寿医療研究センター痴呆疾患研究部
1Department of Dementia Research, National Institute for Longevity Sciences
キーワード:
Alzheimer's disease
,
cholesterol
,
apolipoprotein E
,
amyloid β-protein
Keyword:
Alzheimer's disease
,
cholesterol
,
apolipoprotein E
,
amyloid β-protein
pp.116-124
発行日 1999年2月1日
Published Date 1999/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901392
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はじめに
アルツハイマー病(以下AD)は脳の老化を背景に発症し,罹患脳においては老人斑や神経原線維変化といった特徴的な病理所見が部位選択的に認められ,記憶障害を中心とした臨床症状を呈する。ADの病態生理の全体は依然不明であるが,アミロイドβ蛋白(Aβ)の産生および脳内異常蓄積が疾患成立の中心にあると理解される。このAβ蓄積とコレステロール代謝との関連を示唆する研究報告が最近にわかに集積されている。また,コレステロール代謝に深く関わるアポリポ蛋白E(ApoE)の遺伝型の一つε4(表現型はE4)がAD発症の最大の危険因子であることが明らかとなり,AD発症との関連でコレステロール代謝がさらに注目を集めるに至った。本稿においては,はじめにADの病態生理に関する現時点での理解を概説し,次にコレステロール代謝を中枢神経系における特殊性にも触れながら紹介するとともに,Aβ代謝に及ぼすApoEおよびコレステロールの役割を議論する。
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