Japanese
English
特集 アルツハイマー病—最近の話題
3.アミロイド沈着の分子機構
Molecular Mechanism of Deposition of Amyloid β-protein
柳澤 勝彦
1
Katsuhiko Yanagisawa
1
1国立長寿医療研究センター痴呆疾患研究部
1Department of Dementia Research, National Institute for Longevity Sciences
キーワード:
Alzheimer's disease
,
amyloid β-protein
,
presenilin
,
membrane
Keyword:
Alzheimer's disease
,
amyloid β-protein
,
presenilin
,
membrane
pp.227-233
発行日 2001年3月1日
Published Date 2001/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901735
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はじめに
新世紀を向かえた今日,われわれは長寿を謳歌できる幸せに恵まれた反面,老年期特有の数々の疾患に罹患するリスクを背負うこととなった。アルツハイマー病(AD)は,老年病のなかでも,未だ真に有効な治療法が欠如している点で深刻であり,今後高齢者人口の増加とともに,医学的にも,社会的にも益々大きな問題になると危惧される。ADは原因論的には多様な症候群であり,その発症には多くの遺伝要因ならびに環境要因が働いていると想像される。しかしながら,原因の如何にかかわらず,罹患脳にはアミロイドβ蛋白(Aβ)重合体の沈着が早期から例外なく認められ,アミロイド前駆体蛋白(APP)遺伝子に変異をもつ家族性ADが存在し1,2),それらの遺伝子異常によりAβの産生異常が誘導されること3〜5),さらにはAβ重合体の神経細胞に対する毒性発現などから,AβがAD成立の物質的基盤であると広く考えられるに至った。本稿においては,本来可溶性のAβが,どのようなメカニズムによって異常に凝集し,脳内に沈着し,神経細胞を傷害するのかについて,最近の研究成果も紹介しながら概説する。
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