ラット皮質脊髄路線維の脊髄灰白質投射の可塑性—正常および一側大脳皮質切除後の発達変化

Developmental Plasticity of Corticospinal Projections in the Spinal Cord Gray Matter of Normal and Hemicortectomized Rat

　発育期に大脳皮質が部分的な障害を蒙った場合における残存神経細胞の可塑的変化を解明する目的で，生後1〜56日目までの正常，および右大脳皮質切除仔ラットの左側大脳皮質知覚・運動野にHRPを注射し，頸髄皮質脊髄路から灰白質へのHRP陽性線維の投射を検索した。正常ラットでは，右側頸髄皮質脊髄路からのHRP陽性線維の灰白質投射は同側にのみ見られ，その密度と範囲は生後10〜14日目に最高に達し，以後日齢とともに減少した。生後1日目に右側大脳皮質を切除したラットでは，HRP陽性線維は同側のみならず対側灰白質にもかなり密に投射していた。灰白質への投射線維の密度と範囲の日齢にともなう変化は正常群と同様であった。生後経日的に右側大脳皮質を切除した場合，生後28日目までは対側投射が見られるが，56日目に切除されたラットでは認められず，一側大脳皮質障害後の皮質脊髄路線維の可塑的変化の臨界期は生後4週頃までであることが示唆された。

In the previous study we demonstrated in rats that aberrant ipsilateral CST fibers were increased when the cerebral cortex was surgically ablated unilater-ally during the neonatal period.