Japanese
English
特集 神経再生・修復をめぐって
末梢神経における再生とその促進因子
Neural Regeneration and Its Promoting Factors in Peripheral Nerves
堀江 秀典
1
Hidenori Horie
1
1横浜市立大学医学部第一生理学
1Department of Physiology, School of Medicine, Yokohama City University
キーワード:
peripheral nerves
,
neural regeneration
,
liver-derived neural activator
,
neurotrophic factors
,
cell adhesion molecules
,
extracellular matrix
Keyword:
peripheral nerves
,
neural regeneration
,
liver-derived neural activator
,
neurotrophic factors
,
cell adhesion molecules
,
extracellular matrix
pp.211-225
発行日 1998年3月1日
Published Date 1998/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901249
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はじめに
末梢神経は中枢神経と異なり高い神経再生能力を有しているが,その機構はあまり明らかにされてこなかった。しかし,最近の研究により損傷後の神経線維内における変化の過程が次第に明らかにされており,軸索と軸索を取り巻くシュワン細胞,線維芽細胞,神経周膜細胞の関わり合いが重要であることが指摘されている。これらの軸索を取り囲む神経以外の細胞は各種神経栄養因子や接着因子などの神経再生促進因子を産生しており,その発現が損傷後の神経再生の活性化に大きく関わっている。そこでこのレビューではこの点に焦点を絞り,神経損傷後の接着因子,細胞外マトリックスを含む神経再生促進因子の発現変化とそれらの因子の神経再生時の機能について触れてみたい。
神経再生促進因子は,主に発生段階の幼若な動物から単離された神経細胞を用いてその神経突起再生促進作用や神経細胞の生存維持機能を有する因子として見つけられてきた。しかし生体内で神経細胞は培養皿の中のように単独で存在はしておらず,神経細胞同士,神経細胞と神経細胞以外の細胞とが接触しお互いに情報を交換して機能を維持している。神経損傷後の神経再生に際しても,神経細胞を取り巻く他の細胞系との間でクロストークを行って機能修復をはかっている。そこで神経再生促進因子の作用機序を段階的に検討することが適当と思われる。
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