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特集 わかりやすい高次脳機能の診方
3.失行の責任病巣
Responsible Focus of Apraxia
板東 充秋
1
Mitsuaki Bando
1
1東京都立神経病院神経内科
1Department of Neurology, Tokyo Metropolitan Hospital for Neurological Diseases
キーワード:
apraxia
,
localization
,
buccofacial apraxia
,
apraxia of lid closing
,
constructional apraxia
,
apraxis for dressing
Keyword:
apraxia
,
localization
,
buccofacial apraxia
,
apraxia of lid closing
,
constructional apraxia
,
apraxis for dressing
pp.371-379
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100042
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I.失行とは
失行とは,Liepmann26)によれば,運動障害(麻痺など)や,了解障害(失語)や認知障害(失認)がないか,それでは十分に説明できず,課題の意図の理解障害(痴呆)も意欲の障害もないのに,指示された運動や物品使用を誤って行う場合をいう。
実際には,痴呆などとの鑑別ができて,慣習動作,物品使用,これらの模倣など行為の検査で,無反応だけでなく,1)形をなさない無意味な運動,2)運動が大まかで下手になる,3)他の意味のある運動との取り違え,4)一続きの運動で,その部分行為の順番の間違い,省略,道具や対象との関係の間違い,5)保続(保続のみでは診断困難),6)運動が全く別の筋に現れるなど特有の誤反応がみられた場合,失行と診断できる。
行為の諸相として,少なくとも,言語命令,模倣,物品使用がそれぞれ程度の差はあれ障害される。一般に,模倣より言語命令のほうがより困難で,単純な動作より,時間的空間的に複雑な動作が困難になる。また,物品使用動作では,実際の物品使用より,物品なしでの物品使用のパントマイムが困難である。検査場面での物品使用が,日常生活内での物品使用より困難ともいわれる。
ただし,それぞれの相や課題が他の相より保たれる報告がある。また,視覚失行やその逆など感覚モダリティ間で差がある報告もある。
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