連載 症候学メモ余滴・19
前脊髄動脈症候群と潜在性大動脈壁解離
平山 惠造
1
1千葉大学
pp.662
発行日 1997年7月1日
Published Date 1997/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901142
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最近,大動脈瘤を持つ患者の治療に関与する機会があり,十数年前の我々の報告を思い出した(山﨑ほか,臨床神経,25:1323-1330,1985)。その報告は3例から成るが,前脊髄動脈症候群の臨床像を呈し,大動脈造影CTで大動脈壁解離を確認したものである。当時はまだCTの時代で造影剤をone-bolusとして注入し,タイミングを測って大動脈部を撮影するという方法をとっていた。これによって大動脈壁の解離所見を得ることができ,前脊髄動脈症候群の病態機序を知る上で重要な手掛りを与えてくれた。
それ以前には,膨隆した大動脈瘤を単純X線写真で捕えることができても,外へ向かって瘤を造っていない解離性大動脈瘤を—これを大動脈瘤というべきか疑問だが—放射線学的に捕えることは出来なかった。したがって造影CTで大動脈壁解離を確認できるようになったことは大きな進歩であった。
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