Japanese
English
総説
先天性筋ジストロフィー
Congenital Muscular Dystrophy (CMD)
林 由起子
1
,
荒畑 喜一
1
Yukiko K Hayashi
1
,
Kiichi Arahata
1
1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部
1Division of Neuromuscular Research National Institute of Neuroscience
キーワード:
basal lamina
,
laminin
,
merosin
Keyword:
basal lamina
,
laminin
,
merosin
pp.311-318
発行日 1997年4月1日
Published Date 1997/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901088
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はじめに
筋ジストロフィーとは骨格筋の変性,壊死を主病変とし,進行性に筋力低下と筋の萎縮性変化をきたす遺伝性筋疾患の総称である。このうち,先天性筋ジストロフィー(CMD)は出生直後あるいは生後数カ月以内から筋緊張・筋力低下,運動発達遅滞などを認める筋ジストロフィーである。CMDは遺伝的にヘテロな疾患群であり,臨床的にみても,生後間もなく死に至る重篤なものから,成人に至るまでわずかに進行のみられる程度のものまで様々である。乳幼児期より症状のみられる筋疾患のなかで,比較的進行が緩徐で,筋病理学的にネマリン小体やセントラルコアなど特徴的な構造を認めるものは,先天性ミオパチーの範疇に分類される。また,Duchenne型筋ジストロフィー(DMD),Sarcoglycan異常症,顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD),筋緊張性ジストロフィー(DM)もCMDと類似の症状を呈することがあるが,これらは,臨床的,筋病理学的,遺伝学的特徴から鑑別される。
CMDは,脳の形態異常ならびに知能障害を合併する群と,しない群との二つに大別することができる。前者には,わが国で多く認められる福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)をはじめとして,Waklker—Warburg syndrome(WWS),Santavuori’s Finnishmuscle-eye-brain disease(MEB)などがある。
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