特集 病気の分子細胞生物学
1.筋・神経・精神疾患
エメリー-ドレーフス型筋ジストロフィー
荒畑 喜一
1
Kiichi Arahata
1
1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部
pp.351-353
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901720
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[疾患概略]
Emery-Dreifuss型筋ジストロフィー(EDMD)は遺伝性の筋疾患であり,(1)若年発症の肘・Achilles腱・後頚部の拘縮,(2)緩徐に進行する肩甲―上腕―腓骨筋型の筋萎縮と筋力低下,(3)重篤な伝導障害を伴う心筋症を3主徴とする1)。骨格筋CTはEDMDの特徴的な筋障害分布を捉える上で有用である。典型例では前腕は肘で半屈曲位を取り,頭部前屈が著しく障害される。骨格筋の仮性肥大は認められない。ほかのタイプの筋ジストロフィーと比較すると進行は緩徐であるものの,突然死が高率(~50%)であるので,早期診断と,適切な時期の心臓ペースメーカー装着が肝要である。右房型拡張性心筋症の存在から,臨床的には徐脈が,心電図上ではPR間隔の延長~完全房室ブロック,TAPが現れ,失神や心不全症候を呈することがある。
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