生検末梢神経を用いたハンセン病ニューロパチーにおける病理学的研究―発症機序および病態形成についての考察

Leprous neuropathy: Morphological study of biopsied peripheral nerves

ハンセン病ニューロパチー患者10例（T型6例，L型4例）の生検末梢神経試料を形態学的に観察した。光学顕微鏡では，神経周膜は高度に肥厚していた。Schwann細胞は減少しており，再生像を伴わない神経変性を認めた。病変の軽度な例では神経周膜下浮腫がみられた。電子顕微鏡では，病変の高度な例で神経周膜のbasal laminaはほぼ完全に消失していた。神経周膜に光顕的にほとんど異常のみられない例でもbasal laminaの分裂がみられた。このようなbasal laminaの墨常は病型を問わず，ハンセン病ニューロパチーに共通してみられた。

ハンセン病ニューロパチーは神経軸索が破壊される疾患と考えられていたが，今回の検討により，神経周膜の障害がハンセン病ニューロパチーの特徴であることが明らかとなった。神経周膜は神経血管関門として働き，この障害が神経軸索の変性を引き起こす原因と考えられた。

　Biopsied peripheral nerves from 10 leprosy patients (6 tuberculoid patients and 4 lepromatous patients) were studied morphological aspect. Light microscopical examination showed that the perineurium was markedly thickened by infiltrated cell in tuberculoid type and Mycobacterium leprae in lepromatous type. Schwann cell markedly decreased in number, and nerve fiber disappeared without regeneration in severe patients.

　In mild patients, subperineurial edema was present.