Japanese
English
特集 脳腫瘍のgene therapy
グリオーマに対するサイトカイン遺伝子治療
Gene Therapy of Glioma Using Cytokine
池田 浩司
1
,
吉田 純
1
Hiroshi Ikeda
1
,
Jun Yoshida
1
1名古屋大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Nagoya University School of Medicine
キーワード:
glioma
,
gene therapy
,
cytokine
,
vector
,
liposome
Keyword:
glioma
,
gene therapy
,
cytokine
,
vector
,
liposome
pp.835-843
発行日 1995年9月1日
Published Date 1995/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900836
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はじめに
ここ数年における医学の進歩はまさに日進月歩であり,ことにわが脳神経外科領域においては,CTの登場によって診断能力が飛躍的に向上した。さらには,MRI, DSAそしてPETといった最新技術の導入によって,今までの形態的変化に加えて機能的変化までもが,画像診断によりある程度まで把握可能となってきたのは特筆すべきものがある。それと平行して,マイクロ機器の開発・改良により顕微鏡下での手術侵襲が最小限に抑えられるようになり,以前に比べ手術成績は格段と向上したことは周知のとおりである。しかしながら,今日の脳腫瘍の治療成績は,髄膜腫,神経鞘腫,下垂体腺腫といった良性腫瘍では10年生存率が98%と大変すばらしいものであるが,悪性神経膠腫においてはその増殖パターンが浸潤性であり,正常脳組織との境界が不鮮明であることより,手術的に全摘出が不可能であるという特性のため,手術後に免疫療法,化学療法,放射線療法を併用したあらゆる集学的治療を行っても現在なお5年生存率が10%以下と惨憺たる成績である1)。そこで最近,こういった悪性腫瘍に代表される難治性疾患に対して,遺伝子治療の試みが欧米各国を筆頭に始められてきている。
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