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特集 免疫チェックポイント分子による生体機能制御
Ⅱ.免疫チェックポイント分子とがん
免疫チェックポイント分子のゲノム異常
Genetic alterations involving immune checkpoint molecules
片岡 圭亮
1
Kataoka Keisuke
1
1国立がん研究センター研究所分子腫瘍学分野
キーワード:
immune checkpoint
,
PD-L1/PD-L2
,
CTLA-4
,
genetic alteration
,
3'-untranslated region
,
immune evasion
Keyword:
immune checkpoint
,
PD-L1/PD-L2
,
CTLA-4
,
genetic alteration
,
3'-untranslated region
,
immune evasion
pp.202-206
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200984
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近年,CTLA-4やPD-1/PD-L1などの免疫チェックポイントを標的とするモノクローナル抗体が開発され,悪性黒色腫や非小細胞肺がんなどの様々な組織型の悪性腫瘍に対して有効であることが報告されてきた1-3).特に,進行がんにおいても顕著な効果を示す症例が存在し,一定の割合で長期間,寛解が維持されるために,大変な注目を浴びている.
T細胞活性化は,抗原提示細胞の主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex;MHC)からナイーブT細胞上のT細胞受容体(T cell receptor;TCR)への抗原提示により引き起こされる1-3).完全なT細胞活性化には,共刺激分子であるCD28とB7の相互作用が必要であるが,この作用は自己免疫などを防ぐためにCTLA-4などの共阻害分子により厳密に調整されている.活性化エフェクターT細胞および制御性T細胞上に発現するCTLA-4受容体は,B7リガンドとの結合においてCD28と競合し,T細胞の増殖とIL-2分泌を阻害する.この阻害抗体であるイピリムマブは2011年に悪性黒色腫に対する治療薬として米国食品医薬品局(Food and Drug Administration;FDA)により承認され,2015年には日本でも承認を取得している.本薬剤は持続的な効果をもたらすことが示されており,2割前後の患者で10年以上の寛解が得られることが報告されている.
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