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海外だより
脳腫瘍の免疫治療におけるtranslational research
Immunotherapy for Brain Tumor: Don't get “Lost in Translation”
岡田 秀穂
1
Hideho OKADA
1
1Department of Neurosurgery and Surgery,University of Pittsburgh Medical Center/Cancer Institute
1Department of Neurosurgery and Surgery,University of Pittsburgh Medical Center/Cancer Institute
キーワード:
translational reserch
,
cancer vaccine
,
gene therapy
,
cytokine
,
glioma
,
dendritic cells
,
cytotoxict lymphocyte
Keyword:
translational reserch
,
cancer vaccine
,
gene therapy
,
cytokine
,
glioma
,
dendritic cells
,
cytotoxict lymphocyte
pp.433-442
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100068
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Ⅰ.はじめに
われわれの仕事は,いわゆる典型的な脳神経外科医の仕事ではなく,基礎研究の分野から悪性脳腫瘍の患者に有効な治療方法を見つけて試みてみよう,また,効果がみられた場合も,みられなかった場合も,それがどうしてなのかをもう1度研究室に戻って検証しようという,いわゆるtranslational research,あるいはtranslational medicineの分野である.具体的には,おもに悪性グリオーマや転移性脳腫瘍のT細胞性免疫の抗原を同定し,また脳という免疫学的に特異な場における免疫反応の特性を理解し,より有効な免疫治療を開発しようという試みである.
大手製薬会社の製品開発力がすさまじく進歩した現在にあっても,比較的症例数の少ない原発性脳腫瘍という疾患は,いわゆるorphan diseaseと呼ばれる範疇に入り,大手製薬会社の開発方針の優先順位からはずれることもある.言うまでもなく,有効な治療法のない悪性脳腫瘍の治療の進歩のために,疾患の基礎と臨床の両面を理解する医師が,治療法開発の中心的役割を担うのが望ましい.
本稿では,まずわれわれの最近の研究について紹介すると同時に,translational researchの現状,また,この分野を健全に進歩させていくために筆者の私見から重要と思われる点について述べたい.本稿が,免疫療法に携わる先生方のみならず,広くtranslational researchに関心のある脳神経外科の先生方に興味を持って読んでいただけたらありがたい.
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