Japanese
English
総説
心臓支配神経の終末特に感覚神経について
Morphology of the Nerve Terminals in the Mammalian Heart with Special Reference to Sensory Nerves
島田 達生
1
,
張 雷
1
Tatsuo Shimada
1
,
Lei Zhang
1
1大分医科大学解剖学部教室
1Department of Anatomy, Oita Medical University
キーワード:
sensory nerve
,
ultrastructure
,
immunohistochemistry
,
heart
Keyword:
sensory nerve
,
ultrastructure
,
immunohistochemistry
,
heart
pp.213-221
発行日 1993年3月1日
Published Date 1993/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900452
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I.はじめに
心臓のリズミカルな拍動は交感神経と副交感神経(迷走神経)の相互作用によって調節されている。電子顕微鏡下の観察から,両者の遠心性神経終末は特に洞房結節や房室結節内に豊富に認められ,心房筋や心室筋内にも存在する2,17,22)。その超微形態は多くの研究結果に基づき,すでに成書で述べられ,ほぼ確立された状態にある。また,心臓内には遠心性の他に求心性の感覚神経が交感神経と迷走神経内に含まれていることが1960年代の頃から知られ,心臓内の圧受容や痛覚に携わっていると想像されている。しかしながら,心臓内感覚神経に関する形態学的研究はかなり少なく,未だ不明瞭な状態にあり,必ずしも十分に理解されていない。一般に,心臓内に起こったある種の情報は求心性の感覚神経を介して中枢に伝えられ,それに基づいて中枢指令が遠心性の運動神経によって心臓に伝達するという一連の仕組みがある。このような観点から,心臓内感覚神経の分布や形態を知ることは心臓活動の神経性調節を理解する上で重要であると考える。本稿では心臓内の感覚神経の同定,分布および形態について述べる。併せてそれらの問題点も言及する。
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