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書評
—著 Larry R. Squire 訳 河内十郎 東京大学教授—記憶と脳 心理学と神経科学の統合
Memory and Brain
山鳥 重
1
1姫路循環器病センター
pp.659
発行日 1989年7月1日
Published Date 1989/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206345
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- Abstract 文献概要
記憶障害についての最良の入門書
記憶の問題は神経科学では最も魅力ある研究課題であり,過去多くの有能な研究者を惹きつけてきた。しかし,「記憶」という単語が共通である以外,これらの研究者の記憶へのアプローチにはなんの共通性もないのが長い間の現実であった。
たとえば,記憶研究の具体的,直接的対象は一方ではプラナリアやアメフラシであり,一方ではタコでありラットであった。また,記憶研究の方法は一方の極端では生化学的変化の定量的分析であり,一方では行動観察であった。記憶研究の当面の結論に至っては,一方では記憶は脳に均質に分散しているという主張があり,一方では記憶は特定の領域が代表する,という真向から対立するデータとそれにもとづく主張があった。脳というより,特定の記憶物質が特定の行動の記憶を代表するのだという主張さえ存在した。
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