書評
—A.Kertesz著,横山 巖(神奈川県総合リハビリテーションセンター・七沢病院長) 河内十郎(東京大学教養学部助教授) 監訳—失語症と関連障害—基礎・数量分類・病巣局在・回復過程
笹沼 澄子
1,2
1横浜国立大学
2東京都老人総合研究所
pp.82
発行日 1983年1月1日
Published Date 1983/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205059
- 有料閲覧
- 文献概要
原著者の Dr. Andrew Kerteszとは,1980年Cape Codで開催されたAcademy of Aphasiaでお目にかかつたことがある。いかにも研究者タイプの温厚な人柄をしのばせるこの若手神経科医は,ボストン学派の流れを汲む失語症学者として——とりわけ失語症の数量分類に関する勝れた業績により—一段と光つているように見受けられた。
今回,日本語訳が完成された「失語症と関連障害」は, 著者が10年余にわたり,500名を越える失語症者を対象として蓄積した臨床・研究の集大成ともいえるものである。その目標とするところは,著者自身のこうした経験を従来の文献による知見で補いながら,①失語症に関して現在わかつている情報を新しい視点に立つて総括し,かつ②新たなアプローチと技法を用いて得られた新知見を提示する,という二重の目的を果たす教科書を書きあげることであつた。このような目的は見事に達成されたといつてよかろう。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.