書評
—Edited by George J, Siegel, et al.—Basic Neurochemistry Molecular, Cellular, and Medical Aspects 4th ed.
高坂 新一
1
1国立精神・神経センター神経研究所
pp.545
発行日 1989年6月1日
Published Date 1989/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206325
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1972年初版が発行されて以来,神経系の研究に携わるものにとっては座右の書として広く読まれてきた"Basic Neurochemistry"のFourthEditionが更に内容を充実させ出版されたことは誠に喜ばしい限りである。ここ数年来,神経研究の重要性がとみに認識され始め,1990年代の研究はまさに脳の解明と言っても過言ではないであろう。昨今の脳研究は多岐にわたる研究分野をも巻き込み,しかも研究方法の斬新さ,技術の進歩は1970年代のそれとは雲泥の開きがある。このような時期においてこそ,研究者一人一人がこれまでの研究の歴史と概要をしっかりと把握し,それを基に今後の展望を練って行く必要があろう。この意味で"Basic Neurochemistry"はまさに時の流れに沿った書物と言えよう。神経化学研究での重要な項目がほぼ完全にリストアップされているばかりでなく,それぞれの項目を現在の第一人者が実に簡潔明瞭にまとめあげている。内容的にもThird Edi-tionに相当手が加えられており,現在のトピックスも例えばGeneExpression, Molecular Genetics,Neural Plasticity and Regenera—tion, Alzheimer's disease等新たな章として収容されている。ただThird Editionのときにくらべ引用文献の数が極端に減らされているのが少々残念な気がする。いずれにしても本書が優れたものであることに変わりはなく,学生から既にesta—blishされた研究者にいたるまで幅広く利用していただけるものと確信している。
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