書評
—編集主幹 伊藤 正男・楢林博太郎 編集委員 井形 昭弘・井村 裕夫・大熊 輝雄・佐武 明 佐野 圭司・佐野 豊・朝長 正徳・吉田 博—神経科学レビュー2’88
小幡 邦彦
1
1岡崎国立生理学研究所
pp.236
発行日 1989年3月1日
Published Date 1989/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206269
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1960年代後半は,Brain Research誌とExperimental Brain Research誌が創刊されて,神経科学が神経生理学,神経解剖学等,従来の学問分野の脳神経セクションという域を脱し,総合科学としての歩みを始めた時期といえよう。以来20年の間に,各地域各国に神経科学の学会が発足し,神経科学専門誌も数多く発刊されて,そこで発表される研究の数は止まることなく増加している。さらに昨年から今年にかけて基礎研究分野だけでも,Neuron, Glia Synapse,Neuroscience Research Communi-cations, European Journal ofNeuroscienceが創刊され,第2の論文ラッシュの波が押し寄せてきた感がある。
そこで広い領域の新しい成果に通じていなければならないわれわれにはそれを集約した総説が必要になる。たしかにわが国で発行されている各種の雑誌には神経科学に関する総説が数多く掲載されているが,それらの多くは単なる紹介記事や解説にとどまり,内容が世界的に通用する真の総説が少ないことは本書創刊の辞として序文に述べられている通りである。そこで第一線の研究者に充分な紙面を提供して,概念化,問題提起のきちんとなされた本格的総説を収録することに本書の目的がおかれている。
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