追悼
楢林博太郎先生を悼む
金澤 一郎
1
1東京大学
pp.1060-1061
発行日 2001年12月10日
Published Date 2001/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901325
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平成13年3月18日は,私達にとって忘れることができない日になってしまいました。日本が世界に誇る神経学者の楢林先生がわれわれの前から永久に姿を消してしまわれた日であります。先生が神経学に残されました足跡は,ここで語るにはあまりにも偉大でした。そこで,誠に僭越ながら私が先生の近くにいて見聞きしたこと,感じたことを述べ,追悼の言葉に代えさせて頂きたいと思います。
昭和42年に私は医学部を卒業しましたが,その頃から順天堂大学にはパーキンソン病の世界的研究者であり,中目黒にご自分のクリニックをお持ちであった楢林先生という方がおられることを知っていました。けれども論文でしか存じあげませんでした。その後昭和48年の日本神経学会総会で,私は『ヒト黒質でのGABAの微細分布について』の研究成果を報告しました。私にとって学会デビューでした。発表が終わり,質問ということになった時,会場におられた楢林先生が立ち上がって,大変なお褒めの言葉を下さいました。若い私にとって,そのお言葉がどれ程励みになったか計り知れないものがあります。
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