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特集 神経疾患における神経細胞のサイズの問題
変性性神経疾患における脊髄前根病変の特徴—病変の軸索サイズ別選択性を中心に
Pathology of Ventral Spinal Outnow in the Neurodegenerative Diseases:Size-dependent Axonal Loss
祖父江 元
1
Gen Sobue
1
1愛知医科大学第四内科
1Fourth Department of Internal Medicine, Aichi Medical University
pp.33-45
発行日 1988年1月1日
Published Date 1988/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206037
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1.はじめに
変性性神経疾患とくに孤発性の疾患については,現在のところ明らかな原因は不明である。しかし多くの変性性神経疾患では,その神経細胞の脱落に関して一定の傾向を持つ選択性が見られる。ある細胞群は強く障害されるのに対して,別の細胞群は障害を免れるということがよく観察される。このような選択性は以前から変性性神経疾患を系統変性疾患と呼んできたように,神経系を形作るある「系統」に特異的に現われることが,その基本的な特徴であると考えられてきた。しかし同一の機能を有する細胞群に属すると考えられる神経細胞の中にも,形態的に種々のサイズの細胞が混在していたり,また同一の神経細胞体の中にも,複数の神経伝達物質が共存していたり,さらにその障害のされ方も必ずしも均一ではないなど,変性性神経疾患でのある特定の細胞が選択的に障害されるというその選択性ということの内容は,現在のところ必ずしも明らかではないと言える。
本稿の目的の一つは,ある種の変性性神経疾患に見られる病変の選択性を,障害を受ける神経細胞体あるいは軸索のサイズの問題を中心に考えてみたいということである。また,その対象部位としては脊髄前根を中心とする運動系遠心路についてとしたい。
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