書評
—監修 津山直一(国立身体障害者リハビリテーションセンター総長) 編集 上田 敏(東京大学教授) 大川嗣雄(横浜市立大学教授) 明石 謙(川崎医科大学教授)—標準リハビリテーション医学
祖父江 逸郎
1,2
1国立療養所中部病院
2名古屋大学
pp.272
発行日 1987年3月1日
Published Date 1987/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205877
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- 文献概要
リハビリテーション医学は,予防医学,診断,治療を中核とした臨床医学に次いで,第3の医学として登場し,医学,医療の中における大きな役割を占めるものとして,脚光を浴びてきた。基礎的,実技的な研究が積み重ねられ,現段階では,リハビリテーション医学の概念は,医療機関は勿論のこと,患者さん側にも広く浸透してきており,医療を実践して行く中で,欠くことができない領域として認識されるようになってきている。最近では,積極的にリハビリテーションをとり入れ,施設の拡充をはかっている病院が多い。
また,医学,医療のあり方について,各方面から論議されているが,新しい傾向として,保健,医療,福祉,生きがいなどが一体的なものとして理解されるべきことが強調されている。医学の進歩に伴い,臨床各科が微に入り細にわたって分化し,それぞれに高度先駆的技術が応用され,その中味は益々高水準になりつつあるが,一方では,各分科に分かれて,人間全体としての理解ができず,大きな誤りに陥りかねないとして,包括的,綜合的な観点からとらえようとする動きが重視されている。こうした動向の中で,医学的,心理学的,社会学的な面を総括化した形で推進されるリハビリテーション医学は,より現代的なものとして,幅広い関心を集め,注目されている。
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