連載 症候学メモ・27
手口感覚症候群について
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.234
発行日 1987年3月1日
Published Date 1987/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205870
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◆視床の外側後腹側核(VPL)と内側後腹側核(VPM)との境の小病変によって,その反対側の手と口に限局した感覚障害が生じる。Garcinらがこれを2例の剖検(1954,1960)で報告したことは日本でもよく知られている。本邦でこの報告をいち早く見出されたのは吉倉範光先生(元日本大学教授・小児神経学)かと思われる。筆者が医学部を卒業して,ほんの駆出しの頃(1955),それについて先生から直接お話を伺う機会があった。
◆ところで,筆者はこのGarcinらの"syndrome sensitif de typethalamique et à topographiechéiro-oraie"を拙著の中で,手掌・口症候群と表現したが(神経症候学,文光堂,1971,p.770ほか),その後これがまことに不備であることに気づいた。この症候については,本邦でも臨床報告がなされており,しばしば同様の表現が用いられているが,これには問題が二つある。
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