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特集 老年期痴呆研究の最近の進歩
老年期痴呆の脳循環代謝
Cerebral Circulation and Metabolism in Elderly Patients with Dementia
澤田 徹
1
Tohru Sawada
1
1国立循環器病センター内科脳血管部門
1Cerebrovascular Division, Department of Medicine, National Cardiovascular Center
pp.35-47
発行日 1987年1月1日
Published Date 1987/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205835
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はじめに
Kety & Schmidt51,52)によりN20法が導入され,invivoのヒトの脳血流量および脳酸素消費量の定量的測定が可能となってからすでに40年が経過している。その間に北欧グループにより133Xe動注法や吸入法などの局所脳血流量の測定法が導入され,頭蓋外から大脳皮質血流量の分布を二次元的に測定することが可能となり,また最近ではpositron emission tomography (PET)を利用して脳断層面での局所脳血流量や脳酸素消費量などを測定することもできるようになっている。このような測定技術の進歩とともに,ヒトの脳循環動態に関しても膨大な知見が集積され,その内容は多彩である。しかし,同時に多くの問題について相反する成績も報告され,その評価に困惑することが少なくない。老年期の脳循環代謝動態の変化についてもまだ意見の一致をみていない点が多く,とくに老年期痴呆の脳循環病態の検討成績にこの感が強い。そこで本稿では老年期にみられる痴呆患者の脳循環代謝の変化について,これまでの知見の概略を紹介し,簡単にまとめてみたい。
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