随想
人の脳とその循環
相澤 豊三
1,2
1立川共済病院
2慶応義塾大学
pp.54-55
発行日 1985年1月1日
Published Date 1985/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205442
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解剖学の平沢興先生は「脳と脊髄」という著書の初めに,脳の概観という中で,「人間が万物の霊長としてあらゆる生物の王座に位置することができたのは全く脳のお蔭である。人間の身体には様々な器管があるが,その中で最も特有なのは脳である。人間が二本の足で直立して歩けるようになったのも,言語による意志表示の方法を発見したのも,そしてあらゆる思想,また科学を創造することができたのも,その源は脳の異常な発達によるものである」と述べておられる。
歴史家は紀元前およそ20万年から紀元前7千年までを石器時代と呼んでいるが,この長い石器時代こそは動物から人間への飛躍時代であったといわれている。穴住いの動物であった人間は穴を掘ってその中に入ることで建築ということを考え,蜘蛛が巣を張っているのを見て織物を考えついた。いわば穴居時代というのは一つの工夫時代であったのである。
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