Japanese
English
綜説
腦循環と腦血管擴張(收縮)劑
Cerebralcirculation and Vaso-dilator (-const-rictor) drugs.
相澤 豊三
1,2
,
五島 雄一郞
1
,
田崎 義昭
1
Aizawa Toyozo
1,2
,
Goto Yuichiro
1
,
Tasaki Yoshiaki
1
1東邦大學醫學部
2相澤内科
1Toho medical school
pp.203-209
発行日 1953年9月15日
Published Date 1953/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200109
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1.緒言
脳循環は多くの要因によつて影響を受けるもので,これを例えば,全身血壓の著明な變化により受働的に其の管經を變える(腦外調節)が,一方腦血管は自ら血流を調節し得る大きな能力(腦内調節)をも有して居り他部位における血管とその趣きを異にしている。物質代謝の變動或はその産生物(温度の上昇,酸素減少,炭酸ガス増大,酸度増大,アルカリ度減少)は腦血管擴張の要因となり,それらの逆轉は腦血管の收縮をもたらすものであるが,腦循環に於ける最も大きな特徴の一つは多くの要因によつて強く擴張されるが收縮される要因の數は少なく且つその程度が弱いことである。藥劑に對る腦血管の感受性は他部血管に於けるものよりも甚だ低いとされ,殊に腦血管の收縮についての藥物の影響は至難であり,全身循環との生理的關係を保持した状態に於て腦血管を強く收縮し得る藥物は未だ見出されていないのである。さて然らば腦血管口徑に變動を與える擴張劑乃至收縮劑は腦循環又は代謝の上に如何に影響を及ぼすものであろうか,この點に就て爲された諸家の業績を私どもは出來得る限り臨床面がら綜説を行うことにした。
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