Japanese
English
特集 神経系の発達
脳の発達と脳循環
Maturational Changes of Cerebral Blood Flow and Metabolism
小川 彰
1
,
吉本 高志
1
Akira Ogawa
1
,
Takashi Yoshimoto
1
1東北大学医学部脳研脳神経外科
1Division of Neurosurgery, Institute of Brain Diseases, Tohoku University, School of Medicine
pp.843-850
発行日 1989年9月1日
Published Date 1989/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206380
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I.はじめに
脳は人体の中でも,特にエネルギー需要の高い組織であり,このエネルギーを供給しているのが脳血流である。一般に脳組織が完成された成人脳においては脳血流は脳代謝の増減に伴って変化し,神経活動と脳循環の間には並行性の関係が成立っている。一方,小児脳においては,単に神経活動のみならず,脳の成長発育の因子も脳循環に深く関わっているものと思われる。1945年Kety&SchmidtによりN20法による脳循環測定法が開発されて以来,小児の発達成長期の脳循環についても少なからず報告されてきた。また,最近のpositron emissiontomographyによる脳循環代謝測定法に至る種々の測定法の進歩があり,それに伴って新たな知見も得られてきている。
一方,発達期の脳は可塑的であるなど,成熟した大人の脳と異なり種々の特異性を持つ事が知られている。小児の各種中枢神経疾患の病態を考える際にはこれらの特異性を抜きには考えられない。本報では,小児期の脳循環の成長に伴う変化を中心に,脳循環の成長加齢にともなう変化について概説する。
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