ご存知でしょうが
脳卒中
相澤 豊三
1,2
1慶大
2立川病院
pp.649-650
発行日 1976年7月1日
Published Date 1976/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203906
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脳卒中なる言葉は,我国で現今実地臨床面ではかなり広い意味で一般に用いられている。その概念としては,曽て,脳の循環障害によつて急激におこる意識障害とともに運動機能の障害とを合併した症候群と解釈され,脳軟化および脳出血(脳溢血)に限定されていたものである。cerebrovascular stroke (脳血管発作)がそれに該当するが,この内容は,脳血管の病的過程により急激に局所性神経症状を現わす場合を総称しており,必ずしも運動障害に限定していないし,また意識障害の有無をも問うていない。こうなると従来の脳卒中なる概念より,もつと広い意味に解すべきであるとし,現在,脳卒中の種類は,頭蓋内出血(高血圧性脳内出血=脳溢血,くも膜下出血),脳梗塞=脳軟化(脳血栓,脳塞栓),一過性脳虚血(反覆性脳虚血発作,低血圧に伴なう一過性脳虚血発作),高血圧性脳症などを包括するに至つた。大まかにいえば,脳卒中とは基盤に先天性脳血管の奇型,加齢にともなう脳動脈硬化あるいは体の他部たとえば,心臓・血管領域に病変のあるところへ血圧の異常がからみあつて脳循環障害をおこした病態であると解してよい。
このように脳卒中の概念と分類が規定されたのは,沖中名誉教授を班長とする文部省総合研究班の努力によつたもので(沖中重雄;日本医事新報,2221:19,昭和41),それは米国のNIHの諮問委員会でMayo clinicのMinikanがchairmanとなり,これに多くの知名の神経学者,病理学者が参加して作成された脳血管疾患の分類に準拠したものである(Millikan,C.H.:Neurology8:185,1958)。
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