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本誌の論文審査は国内誌としてかなり厳しいという噂をきいている。確かに,コメントなしに採択される論文は少なく,また,何割かの論文は著者にもどされ修正後の再投稿を見て改めて採用,不採用を決定するという措置がとられている。30〜80%の不採用といわれる名の通った欧米の原著論文誌に比較すれば決して厳しいとは思わないが,本誌のレベルを維持するために御了解をいただいてきた。ついでながら,投稿者のルールとして投稿規定はよく読んでいただきたいと思う。たとえば,英文抄録の不備が目立ち,停滞の一因になったりすると時間がもったいないと感じる。
本誌は,神経疾患の臨床に比重を置きつつ,基礎と臨床にまたがる原著を比較的幅広く掲載してきている。したがって,臨床医学に関係する雑誌のなかでは実験的な研究論文の占める比率が高い。ところで,オリジナリティが要望されることは当然として,薬剤治験などに関する論文をどこまで採択するかという点については,いろいろな雑誌で議論のある所である。新薬を用いた治験や実験などは通常は新しい知見が得られるが,非常に制限を加えるところも多い。これは,場合によっては興味のある新しい成績は出せるが実際の診療に実用化されるに至るものはかなり少ないという認識によっている。一方,本誌についてふり返ってみると,新薬の治験なるが故に掲載を拒否したことはほとんどないが,単に新しく,統計処理がしっかりしているというだけで採用というわけにも参らない。内容次第というのが一般的な態度である。たとえば,それによって脳障害の機序を明らかにするのに役立つとか,現在は非常に予後の悪い疾患の対策に展望を期待させるような内容で,実験計画自体についても論証性が練れているというようなものなら歓迎されよう。
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