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あとがき
有馬 正高
pp.1319
発行日 1978年12月1日
Published Date 1978/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204349
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CTのアトラスも回を重ねて6回目を迎える。外科,内科を問わず全国的に普及しているから,多くの人達がそれぞれ慢性疾患,急性疾患について豊富な経験をおもちであろう。単純レ線ほど安価ではないことと,時間を要するので安静の難しい対象には工夫が必要であることを除けば,信頼性,客観性,安全性,単純性など普及すべき重要な条件をそなえていることが今日の隆盛の原因であることは論をまたない。いわゆる変性疾患のように,従来の神経放射線学では間接的所見しか示し得なかつた病変の分布を,生前に肉眼的に示してくれるようになつたことは,内科的神経疾患を扱う多くの臨床家にとつて,永年の夢が半ば達せられたとも感じられる。一つの技術の展開が臨床医学の水準に極めて大きな影響を与えた例といえる。一方,状態像として把握される症状発現の機序についての研究では,飛躍的ということはなかなか期待し難い。多くの事実の積み重ねを経て帰納的に定められることが多い。
ところで論文のなかに用いられている用語の意味,特に,それがある症状を表現している時にその言葉から想像される症状の内容は受取る人によつてかならずしも同じではない。
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