Japanese
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総説
アルコール性ニューロパチーとビタミンB1欠乏性ニューロパチー
Alcoholic Neuropathy and Thiamine Deficiency Neuropathy
高橋 和郎
1
Kazuro Takahashi
1
1鳥取大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Tottori University School of Medicine
pp.729-735
発行日 1984年8月1日
Published Date 1984/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205356
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1.はじめに
アルコール多飲者に多発神経炎がみられることは,19世紀末頃より多くの報告がなされている1)。本邦においては比較的少いと考えられていたが,近年飲酒量の増加につれ本症が増加しているように思われる。中年以後の多発神経炎を診たときは必ず飲酒歴を聴取しなければならない。
アルコール多飲性ニューロパチーのほかにもビタミンB1欠乏性ニューロパチーはそれほどめずらしくなくなっている。若年者にみられる脚気は古くから我国の国民病の一つとされ,このために死亡する者も多かった。しかしその原因がビタミンB1欠乏であることが明らかとなってより,種々の対策が立てられ近年ほとんど消失したかにみえた。しかし1973年頃より西日本を中心として若年者の間に木症が多発し始め社会的問題となった2〜4)。最近では再び栄養の問題が重視され,このような若年者脚気も減少してきたが,いまだ完全に消え去ったとはいえない。
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