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あとがき
塚越 廣
pp.611
発行日 1984年6月1日
Published Date 1984/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205340
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最近医学概論の講義をせざるを得ない羽目におちいった。医学概論は医学はどうあるべきかを追求する学問で,医の哲学とも言うべきものであるという。そんな講義を私のような浅学非才,思考浅薄な人間ができるわけはないので,医学についての概括的総論を話すことにしているが,一般的なことについてすら知識不足で,十分知らないことを他に教えることがいかにむつかしいかを痛感している。
一方では意外な収獲もあるようである。医学概論の医学史中のヒポクラテス(BC460-377)の誓いを読んだ。前にもみた記憶はあるが,読み直してその思想の深さ,新鮮さに今更のように驚いた。この誓いは千古不滅の教えとも言うべく,ハーバード大学,パリ大学医学部の卒業式には,卒業生がこれを読みあげることになっているという。今頃になって感激している私の方がどうかしているのかも知れないが,医の倫理を説いた教えとして,時代を超越した所が多く,多くの読者は御存知のことと思うが,あえて以下に掲げる。
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