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特集 自律神経機能の新しい臨床検査法
心電図R-R間隔変動を用いた自律神経機能検査法
Autonomic Function Test using R-R Interval Variation in ECG
景山 茂
1
Shigeru Kageyama
1
1東京慈恵会医科大学第3内科
1The 3rd Department of Internal Medicine,The Jikei University School of Medicine
pp.433-439
発行日 1984年5月1日
Published Date 1984/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205313
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はじめに
私たちの心拍動は洞結節の自動能と,これを支配している交感,副交感の両神経系により規定されており,一般には洞調律は規期正しい拍動であると考えられている。しかし,日常の診療で経験するように,小児の心電図では一見してわかるほどR-R間隔は揺らいでいる。成人においてもミリ秒のオーダーで分析すると洞調律のR-R間隔に揺らぎが認められる。この一見簡単な現象が実は自律神経機能検査法として利用できることに気付いたのは,1973年英国のWheeler&Watkins1)が,糖尿病性自律神経障害を有するものではR-R間隔の変動が滅少することを報告して以来である。すなわち,R-R間隔の変動は硫酸アトロピンにより迷走神経を遮断すると消失するので,この変動の度合は迷走神経の活動を反映しているというものである。
過去の文献をひもとくと,古くは1925年米国のBrad—bury&Eggleston2)が,3例の起立性低血圧(Shy—Drager症候群)で脈拍の揺らぎが消失していることをすでに記載している。当時は心電図が普及する以前であったため,この実に正確な観察も自律神経機能検査法として応用されるには至らなかったようである。
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