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特集 神経系における性差
先天性代謝異常・てんかんにおける性差
Sex difference in inborn errors of metabolism and epilepsy
児玉 浩子
1
,
鴨下 重彦
1
Hiroko Kodama
1
,
Shigehiko Kamoshita
1
1自治医科大学小児科学教室
1Department of Pediatrics, Jichi Medical School, School of Medicine
pp.877-885
発行日 1983年9月1日
Published Date 1983/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205182
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I.先天性代謝異常
先天性代謝異常症は,遺伝子の異常により生理的に重要な蛋白質や酵素に質的あるいは量的異常が起こることによって生じる。常染色体上に存在する遺伝子の異常によっておこる代謝異常症では,一般に性差は見られないが,X染色体上に存在する遺伝子の異常による代謝異常症では,その発症頻度,症状に性差が見られる。過去10年,染色体の研究は非常な進歩を見せ,体細胞雑種形成法と連鎖分析法により,多くの遺伝子が染色体のどの部分に存在するか(gene map)が明らかになってきている。図1に人のX染色体のgene mapを示し,図2にはX染色体上の遺伝子の異常によってひきおこされる疾患名をあげた1)。このような疾患をもたらす異常遺伝子は,X-linked (X連鎖)の遺伝法則に従って子孫に伝わる。X連鎖性遺伝(伴性遺伝)の場合,次のことを認識しておくことが重要である。
① 男性の性染色体構成はXY,女性のそれはXXである。すなわち男性の場合,X染色体上の遺伝子は対立遺伝子を持たない半接合体(hemizygote)であり,病的遺伝子が優性であればむろんのこと,劣性のものであっても病的形質が発現する。
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