Japanese
English
特集 神経系における性差
原発性脳腫瘍の性差
Sex difference in primary brain tumors
寺本 明
1
,
間中 信也
1
,
高倉 公朋
1
Akira Teramoto
1
,
Shinya Manaka
1
,
Kintomo Takakura
1
1東京大学脳神経外科
1Departmentof Neurosurgery, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.869-875
発行日 1983年9月1日
Published Date 1983/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205181
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.性差の意義
ある疾患の罹患率または死亡率に関して性差の有無を議論する場合,その前提として以下の事項を確認する必要がある。すなわち背景としての人口構成自体に男女差はないか,医療機関等でのその疾患の診断・発見に際して性差が生じうる社会的または慣習上の要因はないかという点である。
これらの前提を踏まえた上で一つの疾患の性差の意義を検討することは,その疾患の原因または病態を解明する上で重要な鍵となろう。従来,性差に関連の深い要因として報告されているものは以下の4つのカテゴリーに分類される3,7,12,26)。まず第1に遺伝の「要因である。男女の性は性染色体によって規定されていることから,性染色体自体の異常および性染色体上に病的遺伝子が局在する場合(伴性遺伝等)には,性差の明瞭な疾患が生ずることは明らかである。ただし,この第1の要因に基づく性差に関しては主に特異な疾患にみられ,既にその意義は解明されている場合が多い。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.